不妊治療は未知の世界

助産師が2人目不妊で不妊治療を始めていき、学んだことを書き留めています。

43歳以上の不妊治療による妊娠率は?85%が体外受精または顕微授精!


スポンサーリンク


スポンサーリンク





不妊治療って、本当に高額ですよね!!!!

そりゃあもう、風邪で耳鼻科行こうものなら、その治療費の安さに驚くレベルです!!

1500円とか!!!!

なにそれ消費税??ってレベルですよ。

不妊治療中でも、会計が1万円未満だと「今日安いな~」って思うってかなり歪んでますよね。

でも、これ体外受精をしているかなり多くの皆さんが経験していることだと思います。

 

不妊治療の助成金が出るのは妻が43歳まで!

不妊治療は、自費診療といって、治療費を全額自己負担する必要がありますよね。

これは診療施設が(ある程度)自由に治療費の価格設定をすることができます。

 

厚生労働省では、特定不妊治療費助成制度の対象者について下記のように記載しています。

 (1) 特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦

 (2) 治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦

不妊に悩む夫婦への支援について

 

ここでいう、特定不妊治療というのは、体外受精または顕微授精のことですね。

 

43歳以上の妊娠率は?

これまでのとおり、体外受精の助成金が出るのは、43歳未満の女性までです。

それでは43歳以上の妊娠率や出産率はどうなっているのでしょうか。

1本の論文をご紹介したいと思います。

 

 不妊治療により43歳以上で妊娠が成立した118症例の検討

著者は、京都府京都市中京区東洞院通りにある、足立病院の産科医らです。

現在、こちらの病院では、下記の通り年齢制限が設けられているようです。

原則として満45歳の誕生日までとさせていただきます。

http://www.adachi-hospital.com/sp/medical/reproductive/c_pregnancy.html

 

濱田 啓義, 中山 貴弘, ダハール 佐知子, 立入 智恵子, 山出 一郎, 井上 卓也, 矢野 樹理, 畑山 博. 不妊治療により43歳以上で妊娠が成立した118症例の検討. 産婦人科の進歩, 69 (3) , 262-268, 2017

不妊治療により43歳以上で妊娠が成立した118症例の検討

 

 

2011年から2013年で、この足立病院で不妊治療を行い妊娠が成立した3743例のうち,43歳以上の118例について検討しています。

118例のうち、妊娠成立時の年齢は、平均44歳2カ月最高齢は48歳8カ月だったそうです。

 

妊娠成立までの日数

治療開始から妊娠成立までの日数は平均508日(27~2260日)であり,40歳以下に比べると有意に長くなっていました(図1)。

また、69%(81例)が初回治療であり,71%(84例)に流産を含む何らかの妊娠歴が認めらていました。

f:id:klcklc:20180918130454p:plain

 平均508日ということは、治療開始から妊娠するまで1年半ですね。

不妊治療していると、月に何度も通院しないといけないわけで…。

仕事してたら遅刻・早退・有給も駆使しないとやっていけない職種もありますし、妊娠までやはりかなり長い道のりだということがわかりますね。

また、一度でも妊娠したことがあるか?という産科歴は、40歳以上の不妊治療の見通しに影響しそうですね。

 

43歳以上で妊娠できた人の不妊治療の内容は?

妊娠成立時の治療内容は、以下の通りでした。

  • 体外受精および顕微授精 85%(100例)
  • タイミング法        13%(15例)
  • 人工授精                    3%(3例)

 

 

ARTでの卵巣刺激法は、以下の通りでした。

  • クエン酸クロミフェン周期        54%(54例)
  • GnRH agonist short protocol(以下short法)36% (36例)

 

胚移植の方法は、以下の通りでした。

  • 凍結融解胚移植 41.5%(49例)

 

43歳以上で妊娠できた人の出生率は?

それでは、妊娠できた女性のうち、出産できたのはどのぐらいの割合なのでしょうか。

妊娠転帰は以下の通りです(表1)。

f:id:klcklc:20180918130333p:plain

出産できたのは34%でした。

これには少し驚きました。意外と高い確率だと思いませんか?

 

ただ、自然流産は58%,異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)は2.5%、子宮内胎児脂肪は1.7%でした。

また、5例で人工妊娠中絶が行われていました。

中期中絶になるので、分娩されたんですね。

 

著者らは、考察で以下のように締めくくっています。

ARTの卵巣刺激法ではクエン酸クロミフェン法やshort法を積極的に使用しても良いと考えられた.ただし妊娠の転帰は厳しく,中期中絶症例があることも今後の課題と考えられた.

確かに、ようやく妊娠できたとしても、 日本では着床前診断は行われないことが多いので、中期中絶が他の年齢層よりも高くなる傾向があるかもしれませんね。

 

 不妊治療をしても妊娠できなかった人の割合は?

 この研究は、妊娠反応があった43歳以上について検討しています。

 そのため、例えば40歳以上の女性で不妊治療をしても一度も妊娠できない割合については不明です。

あくまでも、妊娠できた118例のうちのデータです。

そのうち85%が体外受精か顕微授精で妊娠し、出産できたのは34%という結果でした。