不妊治療は未知の世界

助産師が2人目不妊で不妊治療を始めていき、学んだことを書き留めています。

採卵3日目のコンパクション胚は着床する可能性が高い?(体外受精の胚移植, 桑実胚, 研究)


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初めての新鮮胚移植で、採卵から3日目のコンパクション胚を移植することになった。

コンパクションってどうなの?というか、そもそもなんなの?

3日目のコンパクション胚って、分割スピードが早いということ?

でも分割スピードが早いと、単純に良い胚と言えるの?

 

頭の中がはてな~になったので、色々と検索してみた。

そして、ある論文を見つけたので、φ(..)メモメモ 

 

 移植時の記事↓↓

www.hunin-michi.xyz  

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Early compaction on day 3 may be associated with increased implantation potential.

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(06)01430-0/fulltext

 

タイトルは「3日目の早期コンパクションは着床可能性の増加と関連している」…かな。

収録された雑誌のFertility and Sterilityのインパクトファクターは4.8で、

不妊治療関連雑誌の権威というとこか。

 

この論文の結論を抜き出すと、以下の通り。

3日目に完全なコンパクションとなった胚のうち、フラグメンテーションが10%未満だと、着床する可能性が高い

 

通常コンパクション化するのは採卵4日目頃。

胚盤胞では、分割スピードが早く、フラグメンテーションが少ないと着床率が高いとされているが、コンパクション胚でも同様のことが確認されたということでしょうか。

 

本論文で定義されたグレードとコンパクションによる形態的評価(Figure 1)

f:id:klcklc:20180904131436p:plain

Fertility and Sterility 2006 86, 1386-1391DOI: (10.1016/j.fertnstert.2006.03.051)

Copyright © 2006 American Society for Reproductive Medicine Terms and Conditions

  

論文抄録の和訳

 

目的
早期コンパクションを示す3日目の胚が、コンパクションなしの胚と比較して、着床の可能性を向上させるか決定する。

設計
レトロスペクティブコホート研究

設定
Hospital-based academic medical center. 学術医療センターの付属病院とか?

患者
2001年11月から2004年12月の間にIVFを実施し、38歳未満で、8細胞以上の胚を1つまたは2つ移植した女性。

介入
標準的なIVFプロトコル

主なアウトカム指標
1047の胚のコンパクショングレードと着床率が8細胞胚以上のフラグメンテーションと関連するか

 

結果
コンパクションの等級付けは、着床の可能性と強く関連していた。しかし、この効果の方向性はフラグメンテーションの程度に依存した。

 

フラグメンテーションが10%未満の胚では、着床率はコンパクションのグレードとともに増加した。

  • グレード1, 25%
  • グレード2, 33%
  • グレード3, 47%

フラグメンテーションが10%以上の胚では、着床率は逆転した。

  • グレード1, 38%
  • グレード2, 20%
  • グレード3, 9%

※フラグメンテーション10%をカットオフとして、グレード(冒頭の図1)による着床率の方向性が逆になってしまったのですね。

この論文の結果からは、「単純にコンパクション化が早いほど、着床率が良いというような形態学的評価はできず、フラグメンテーションの程度に依存する」ということになります。

 

結論
コンパクションのグレードを評価することは、3日目移植のための最適な胚の同定における伝統的な形態学的評価への貴重な資料となり得る(要は意味あるってことか)

 

※ちなみに、考察部分で著者らもこの結果は予想外だったとしながらも、胚盤胞移植が適さない患者にとって3日目移植が必要な場合もあると主張し、本研究結果は3日目移植で8細胞以上の胚を評価する際の貴重な資料になるとしている

 

その他、論文から気になるところを抜き出し

φ(..)メモメモ

背景より

胚が桑実胚段階に進むにつれ、4日目にコンパクションが起こる(23)。4日目のコンパクションの度合いは着床可能性(24)と相関しているので、3日目の早期のコンパクションも発達能力の増強の予測因子である可能性がある。

 

23) Nikas, G., Ao, A., and Winston, R. Compaction and surface polarity in the human embryo in-vitro. Biol Reprod. 1996; 55: 32–37

24) Tao, J., Tamis, R., Fink, K., Williams, B., Nelson-White, T., and Craig, R. The neglected morula/compact stage embryo transfer. Hum Reprod. 2002; 17: 1513–1518

 

研究方法より

卵子回収後4-6時間以内に3~5匹の精子で受精またはICSIを施行。
3日目(授精後68-72時間)に各胚の形態を評価した。

 

コンパクションを次のように3つのカテゴリーの1つに分類した(上図のFigure 1)

  • グレード1(コンパクションなし:球状の球形で、膜融合の証拠はない)
  • グレード2(いくつかのコンパクション:いくつかの膜融合は明らかであるが、割球の数は容易に数えられる)
  • グレード3(完全なコンパクション:極端な膜融合により、存在する割球の数を数えににくい)

 

桑実胚?

 

ハラメディカルクリニックのHPには以下のように記載あり

https://www.haramedical.or.jp/content/vitro/000145-2

 

Day4 桑実胚
8~16分割ぐらいになるとそれぞれ独立した割球が密着結合とGap結合により一つの大きな塊(個体)になろうとする時期。 桑実胚後期はコンパクションといい、コンパクションの起こる時期は受精からの時間によって起こるので4細胞期でも起こりうる。細胞の内側と外側という概念が生まれる。

 

これを見ると、コンパクションというのは、早いと4細胞期から始まることもあるらしく、コンパクション化=桑実胚とも言えない?

(一見細胞同士が融合していても、培養液につけると割球の境目をちゃんと識別できることもあるらしく・・・)

ちゃんと分割が進んでからのコンパクションが桑実胚と呼ばれる感じ?

 

 

培養士さんのブログを拝見すると、以下のように記載が。

  • 8細胞期以降のコンパクション化は良好胚とみなすことが多い
  • 良好胚と不良胚を区別しづらいため、一般的に4日目桑実胚での移植は行われない

 

plaza.rakuten.co.jp 

なるほど~。

確かに4日目の移植って聞かないもんね。

 

私の場合

コンパクション胚を移植と言われても、

KLCでは、分割胚や胚盤胞のようにグレードをつけていないし、初めは良いのか悪いのかよくわからなかった。

KLCでグレードをつけていない理由は、割球が融合し始めているので判定ができないためらしい。

 

私の場合、あくまでも想像だけど…

  1. 培養2日目の情報からすると、ある程度分割すすんでからのコンパクション胚?
  2. 受精卵は、3日目コンパクション胚なので分割スピードは早いのだろう
  3. グレード2だったので、フラグメンテーションも低いのでは??

ただし、3のフラグメンテーションに関しては、怪しい。

なぜなら、KLCではカットオフ値を30%未満か以上かとしているので、

冒頭の論文で紹介したようにフラグメンテーション10%未満かどうかなんて

素人の私にはわかりゃーしないから。

 

色々調べても、結局祈るしかない不妊治療…。

 

 

 その他、参考になる論文の記事↓↓

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<みち子の経過>

その後、早期コンパクション胚(3日目新鮮初期胚)で妊娠しました!

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その後のそのご、絨毛膜下血腫になってしまいました…涙 

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 血腫を乗り越えて、妊娠4か月になりました↓

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