不妊治療は未知の世界

助産師が2人目不妊で不妊治療を始めていき、学んだことを書き留めています。

絨毛膜下血腫とは?切迫流産となったら転院が必要?:絨毛膜下血腫(3)


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KPCでタイミング・人工授精を経て

KLC転院後、採卵2回、移植1回目で胎嚢確認後にKLCを卒業したあとの出来事です。

妊娠後の記事となりますが、トラブルがあったので記録を残したいと思います。

 

前回の記事↓↓ 

www.hunin-michi.xyz

 

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胎嚢確認までの過去記事↓↓

KLC③ ET19 胎嚢確認&KLC卒業:クロミフェン周期(13) - 不妊治療は未知の世界

KLC③ ET12 判定日!3日目胚移植後:クロミフェン周期(12) - 不妊治療は未知の世界

KLC3周期目となる妊娠できた時のクロミフェン周期の開始記事↓

KLC③ D2 3周期目開始 : クロミフェン周期(1) - 不妊治療は未知の世界

 

 

 

 

絨毛膜下血腫?

そもそも絨毛膜下血腫なのか?

絨毛膜下血腫とはなんぞや?ということについて振り返りたいと思います。

冒頭の画像は、下記のURLから引用したものです。

超音波で無エコーや、低エコー(黒)に見える部分は、「水」か「新しい出血」です。外出血のエピソードがない場合、本当にそのEFSが出血であるということは言及できません。とくに妊娠初期では、脱落膜内に絨毛膜が侵入する際に少量の出血がおきることもあるようですが、もともと前壁と後壁の子宮内膜の間に液体貯留があって描出されることもあるので、出血なのかどうなのかは、何ともいえないと思います。

12.絨毛膜下血腫?? – 日本産婦人科医会

 

私の場合、外出血がしっかりあったので、やはり血が溜まっているのでしょう。

ということは、絨毛膜下血腫だよね、やっぱり。

 どうみても・・・。はい。

 

他の可能性もある?

低エコー部分は、水か出血の可能性が大きいのですが、妊娠初期にはほかの疾患との鑑別も重要です。

鑑別として重要なのが部分胞状奇胎などの絨毛性疾患です。EFSにいくつかの小嚢胞を含む場合は、それらの疾患も疑い、精査する必要があります。

12.絨毛膜下血腫?? – 日本産婦人科医会

※EFSとはエコーフリースペースのことで、胎嚢や胎児部分以外にある低エコー(黒っぽく描写)の部分を指す

 

今回の私のエコー画像は小嚢胞を認めなかったですし、その他もはっきり描写されていたので、部分胞状奇胎ではなさそう。

ま、もう出血確認されているのでね。 

 

絨毛膜下血腫の妊娠転帰は?

じゃあ、絨毛膜下血腫になると、その後の予後はどうなるのでしょうか? 

妊娠初期のEFSのありなしで大きく、その後の予後(流産率)に違いはないと考えられています。そもそも、妊娠12週までには15-20%の妊娠は流産に至りますので、血腫(EFS)があろうとなかろうと違いはありません。

12.絨毛膜下血腫?? – 日本産婦人科医会

なんか…にべもなし。

とにかく、妊娠初期は流産する可能性はあるので、血腫の有無が大きく影響しないということなのだろうか?

 うーん。でも、絨毛膜下血腫あると、病院によっては初期でも入院させたりするよね。

 

切迫流産の場合の診療方針は?

 産婦人科の診療ガイドラインとは?

 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会は、産婦人科診療ガイドラインを発行しています。

http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf

 3年毎に改訂版が発行され、2017年が最新です。

 

大体こういうガイドラインというのは、学会所属員から相応しいと思われる人(システマティックレビューが正しく理解できる人)を選定し、かつこの仕事を受ける余裕のある人(ガイドラインのCQ選定やアンサーを作り上げるのはかなり時間がかかるため)、情熱を持つ人などが、メンバーとなり作成しています。

 

ガイドラインが刊行される度、臨床の産婦人科スタッフたちはこれらのCQを一つ一つ読み、より良い診療方針について勉強会を開いたものです。

なぜなら、臨床でよくある状況設定がクリニカルクエスチョンCQとして設定してあり、システマティックレビューなどの高いエビデンスレベルなどを日本語で説明し、臨床で勧められる対応についてをアンサーとして記載してあるからです。

 

医療者は常に知識の更新が必要ですが、やりがい搾取のもとに、疲弊しているのも事実です。

そこへこのガイドラインですから、もう飛ぶように売れたことでしょう笑

結構高いんです。

もちろん、日本助産師会が出してるガイドラインもありますよ!

 

と、色々とガイドラインのありがたさについて記載しましたが、これ転載が非常に厳しいというか面倒なのです。

そのため、もし気になるかたはURLからPDFを見てください(ただし重いですよ)。

このガイドラインは、現場の医師・看護師・助産師たちが日々読んでいるものです。

 

ものすごく話がそれました…。

私が参考にしたのは、PDFのp.144、CQ206である切迫流産の対応についてです。

私の場合、心拍確認できたあとなので、answerの2が参考にできました。

 

切迫流産の対応

いちおう、切迫流産に対する保険適応の処方薬はあるけど、これを内服したから絶対大丈夫とは言えないわけです。

内服なんか気休めなんだよね。

ただ、流産には効果なしとされる安静は、心拍確認後の絨毛膜下血腫には効果ある可能性がある‥・。

この辺のことは、またの機会に論文をまとめたいと思います。

 

さらなる転院を検討

どんなリスクがある?

 絨毛膜下血腫になるとどんなリスクがあるのでしょうか。

さらに、およそ妊娠16週以降の胎盤形成後も血腫が持続する場合、その出血源は胎盤である可能性が高いです。慢性的な胎盤早期剝離などと言われることもあります。絨毛膜羊膜炎を起こして破水したり、胎児発育不全羊水過少などに至ることや、出血の増悪で急性の胎盤早期剥離になることもあります。

12.絨毛膜下血腫?? – 日本産婦人科医会

絨毛膜下血腫が胎盤形成が完了する16週頃以降も吸収や排出されないと、感染して絨毛膜羊膜炎となって破水することもあります。

破水したのが妊娠22週より早いほど、今回の妊娠継続は困難となり、いずれ流産となるでしょう。

 

前期破水してもそれが28週以降なら胎児の予後も比較的よくなりますが、依然として障害が残るリスクはあります。

また、胎児の状態がよければ高位破水であれば入院管理することもあるでしょうが、羊水量が少ないと胎児発育不全や呼吸機能に影響を及ぼしてしまいます。

胎盤がはがれてしまえば、もう胎児を出してあげるしかなく、22週以降であれば早産となります。

 

このように絨毛膜下血腫では、 流産、早産、死産、前期破水、常位胎盤早期剝離などのリスクが上昇します。

 

このまま今のクリニックで対応できるのか?

どんな状況になったとしても、このままであれば妊娠期に入院する可能性は高そうです。

というか、入院して何とかなる状態ならまだマシという感じでしょうか。

さらに、早産となった場合は、NICUのお世話になる可能性も高そうです。

 

となると、今のクリニックだと妊婦は入院できないし(NICUがないから。ぜっっったいに産まれない状況ならさせてくれるかもしれないけど)、安定期以降も血腫があるようだったらなんとか妊娠28週以降までもっても胎盤はがれたり破水したらNICUのある病院送りだし。

 

そうなったら、どこの病院行くことになるか分からない。

うーん。これは早めに大きな病院に転院しておいたほうが良いのかもしれない‥‥。

転院するにも、血腫がどうなるのか、妊娠12週まで胎児は生きていてくれるのか…。

またまた悩みが尽きないのでした。

 

 その後↓

 

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